CIRPと一般社団法人 CIRP JAPAN

The International Academy for Production Engineering(CIRP)

略称:CIRP(Collége International pour la Recherche en Productique;フランス語名の旧称より)

詳細はCIRP本部の規約 (http://www.cirp.net/about-cirp/internal-regulations.html)をご参照ください.

1.CIRPの設立趣旨と目的
 CIRP(国際生産工学アカデミー)は第二次世界大戦後の復興を進める上で,生産工学に関する国際的な共同研究が必要であるとの認識を持ったベルギー,フランス,英国,ならびにスイスの生産技術研究の分野で指導的立場にあった研究者が集まり,1951年に設立した国際組織で,当初は経済協力開発機構(OECD)の支援を受けて発足した.設立当初の名称は,College International pour L’etude Scientifique des Techniques de Production Mecanique(仏語)または International Institution for Production Engineering Research(英語)(日本語訳;国際生産加工研究会議)であったが,2005年に会員の合意に基づき現在の名称に変更された. 当該分野では唯一の国際的学術組織で主に工業先進国の主要な研究者によって構成されている.
 CIRPの目的は,生産技術に関する研究,開発の推進をめざし,研究者相互で研究計画を検討しその成果を交換し合うことにある.毎年1回世界各国持ち回りで開催する総会(General Assembly)で論文発表と質疑が行われ,論文集CIRP Annalsを出版している.また毎年2月にパリにおいて冬季会議(Winter Meeting)では複数の科学技術委員会を中心に研究交流を行っている.なお,事務局は設立以来パリにおかれている.

2.CIRPの組織と運営
 CIRP総会(General Assembly),理事会(Council),連絡委員会(Liaison Committee)によって統括され運営されている.
 会長(President),副会長(Vice President)は毎年総会の席上で選出され,任期は一年である.副会長は翌年会長に就任する.日本からは1984年に会長として佐田登志夫氏,1996年度に吉川 弘之氏,2004年に稲崎 一郎氏,2014年に上田完次氏が会長に就任した.
2−1 CIRP会員
 会員は正会員(Fellows),副会員(Associate Members),栄誉会員(Honorary Fellows),名誉会員(Fellows [Emeritus]),賛助会員(Corporate Members),リサーチアフェリエイト(Research Affiliates)から成る.
 正会員になるためには,副会員になった後に達成した一定の貢献と成果をもとに,国籍の異なる2名の正会員によって推薦され,所属する国の正会員3分の2以上の賛同を得て,総会に候補者として提示される.さらに正会員の投票を経て,総会の席上で認められる.正会員の数は一国あたり15名以内に制限されている.
 副会員は正会員の推薦により理事会で選出される.CIRPの会合に出席することができ,科学技術委員会に所属して活動することができる.副会員に推薦されるためには,予めCIRPの活動に参加して応分の貢献をすること,当該分野において十分な研究実績を上げていることが求められる.
 栄誉会員はCIRP活動に特に貢献した正会員であって,終身その資格を有し,正会員と全く同じ権利を有する.
 名誉会員は,申し出に基づく審査を経て終身の名誉会員に指名される,CIRP Annals以外のCIRPの出版物を受け取ることができ,総会やその他の集まりに出席することができる(我が国では,会員の活性化を図るため,内規として65歳で正会員を引退することとしている).
 賛助会員はCIRPの趣旨に賛同し,賛助会費を納める企業または研究機関である.正会員の提案によって理事会で承認を得る.CIRPの会合に加わることができ,2名の代表者を送ることができる.
 リサーチアフェリエイトは正会員の推薦によりCIRP活動に参加する若手の会員であり,推薦時に36歳以下でなければならない.
2−2 科学技術委員会
 CIRPの活動範囲に含まれる研究を促進し,専門家間の協同研究を進展させるために,総会は現在10の科学技術委員会(Scientific and Technical Committee)を設けている.各究委員会の対象とする研究分野は理事会によって定められる.これらの委員会の主査(Chairman)は理事会の提案に基づいて総会で指名される.
2−3 科学技術委員会とその内容
•A  組み立て(Assembly)
•C  切削加工(Cutting)
•Dn 設計(Design)
•E  電気・物理・化学加工(Electro-Physical and CHemical Processes)
•F  塑牲加工(Forming)
•G  砥粒加工(Abrasive Process)
•M  機械(Machines)
•O  生産システムの最遍化(Optimization of Manufacturing Systems)
•P  精密工学と計測(Precision Engineering&Metrology)
•S  表面(Surfaces)

3.CIRPの主な事業
3−1 総会(General Assembly)
 毎年1回,各国持ち回りで開催される(総会の開催場所は会員の投票によって決定され,基本的にヨーロッパ2回に対し,ヨーロッパ以外1回の割合で配分される).
 総会は,第一部(基本的に公開で論文発表を中心とする)と第二部(会員とそのゲストのみの参加で,科学技術委員会を中心とする)の二部から構成されている.
 1974年に日本で第1回目の総会が開催され(第一部東京,第二部京都),第2回目は1988年に東京,第3回目は2006年に神戸で開催された.第4回目は2018年に東京で開催される.
3−2 冬期会議(Winter Meeting)
 科学技術委員会を主体にした会合で,毎年2月にパリで開催される.またこの時期に総会で発表される論文の最終審査が行われる.
3−3 出版物
 出版物としてCIRP Annalsがある.基本的に,毎年編集委員会の審査を経て総会の席上発表され,討論される論文を掲載するNo.1,主として総会および関連の科学技術委員会で発表されるキーノート論文を掲載する No.2,からなっている.CIRP Annalsは引用度数の高い,当該分野において最も権威ある論文集として国際的に認知されている.もう一つの出版物に辞書がある.用語,必要図面用語の持つ意昧などが述べられている.
3-4 Taylor Medalの授与
  CIRP総会において,筆頭著者として自ら論文発表し,優れた研究を行った35歳未満の若い研究者に「F.W.Taylor Medal of CIRP」が授与される.総会の席上投票で決定される.日本では久保盛雄氏(1965),星鉄太郎氏(1972),森脇俊道氏(1976)仙波卓弥氏(1990),梅原徳次氏(1995),大森整氏(1996),片平和俊氏(2008),曽雌眞和氏(2010)が授与されている.
3-5 The General Pierre Nicolau Awardの授与
 CIRP創立者Pierre Nicolau氏の偉業にちなんで,2001年より世界的な生産技術の権威に「The General Pierre Nicoiau Award」が贈賞されている.日本人では,森雅彦氏(2002),稲葉善治氏(2007)が授与されている.

4.日本とCIRPの関係
 1960年に益田森治氏(東京工業大学教授)がO.Kienzle(ドイツ),P.Nicolau(フランス)の紹介で正会員に入会したのがCIRPと日本の結びつきの始まりである,1963年10月に「一般社団法人 CIRP JAPAN」の前身である「CIRP国内委員会」が結成され,国内活動ならびに対外活動が盛んになった.なお,「CIRP国内委員会」は,1966年より,社団法人精機学会(現 公益社団法人精密工学会)への設置が認められた.

5.一般社団法人 CIRP JAPANの設立趣旨と目的
 一般社団法人 CIRP JAPANは,国際的学術組織であるCIRPの日本における連携組織であり,日本の生産科学・生産工学における諸問題の解決を図ると共に,生産科学・生産工学に関する学術の発展,研究開発の推進,人的ネットワークの構築,高度人材の獲得と育成を実現することを目的としている.なお,一般社団法人 CIRP JAPANは,上述の任意団体であったCIRP国内委員会の法人化への移行により,2018年2月9日付で法人として認定された.